過失割合とは?
交通事故の被害者であるにもかかわらず,加害者や保険会社などから,「あなたにも事故の責任がある。」といわれることがあります。これを「過失割合」といいます。
この過失割合(どのような態様の事故の場合,どちらにどれくらいの過失割合があるか)については、過去の数多くの裁判例(判例)等により,基本的な過失割合が類型化されております。
従って,過大な過失責任を負わされそうな場合には,それを個々の事故状況に応じて修正しておく必要があります。
この過失割合に応じて,賠償金の額も増減されてしまいますので、賠償金額への影響も大きい要素になります。
示談の段階では、ご自身と相手方との協議で過失相殺割合が議論されることが多いため、正確な事故状況を反映していなかったり、修正要素がきちんと考慮されていない場合もあります。自分の過失割合に納得できない場合には,示談書に署名押印する前に,専門家に検討してもらうという方法もあります。
事故の実態を正確に把握するためには、事故当時の記録である実況見分調書等を取り寄せて精査したり,残された証拠を検証するなどして、事故状況に見合った過失割合になっているかを検討するという方法もあります。
示談等で過失割合について納得が得られない場合には、訴訟手続などを通して、証拠に基づき,公正な立場から裁判所に判断してもらう方法もあります。
後遺障害等級とは?
交通事故などで後遺障害がのこった場合,その程度に応じた適正な賠償をしてもらう必要がありますが,その場合,賠償額を決める目安(基準)となる「後遺障害等級」の認定(1級~14級のどの程度の後遺障害がのこっているかの判定)が必要になります。この「後遺障害等級」が何級であるかによって,加害者や保険会社から支払われる賠償金の額も大きく変わります。
ところが,例えば,失調・めまい・平衡感覚機能障害のような症状があるといっても,その程度により,比較的軽いとされる14級から12級,9級,7級(重い場合はさらに5級,3級)と後遺障害等級は異なっており,実態が正確に把握されていないと,適正な認定を受けられない場合もあります。
実態と異なっているにもかかわらず、一旦,後遺障害等級認定を受けてしまうと、(医療記録の精査により、異議申し立て等を行う方法はありますが),後で覆すことは難しくなります。
損害賠償請求訴訟
交渉によってなかなか合意が得られない場合には、裁判所に,公正な立場から判断してもらうという方法もあります。
その場合には,事故の状況や事故の損害(修理費、医療費、介護費、慰謝料等)に関する証拠をできるだけ集め,丁寧に立証することで、より実態に合った適正な損害賠償を受ける可能性を高めることができます。
また、判決になった場合には,遅延損害金や弁護士費用等も加えられることが多いため、示談時に提示される金額よりも認定額が高まる傾向があります。
弁護士が受任した場合には、委任を受けた弁護士が訴訟活動を行いますので、ご本人が裁判所に行っていただく必要はほとんどありません。
被害者の方については,賠償金が入ってから,弁護士費用(着手金・成功報酬金)を精算させていただくという方法もあり,その場合,事務費用などを除き,原則として依頼者に事前に弁護士費用(着手金)をご用意していただかなくても良い場合もあります。
「訴訟は時間や費用がかかるのでは?」という不安のお持ちの方は,事前に,遠慮なく,不安な点をお聞きになる方が良いと思います。